Vol.6 建主とは何か(後編)
地震に強い家を建てるのは建築業者の役割です。建築基準法に従い、丈夫で長持ちする家を考えるのは建築業者の責任です。間取りも決まらないのに、どの工法が地震に強いのかを議論する建主もいますが、どの工法を選んでも無理な設計をしなければ丈夫な家が建つのです。反対に、どの建築工法を選んでも設計に無理があれば耐震性は衰えます。阪神大震災では古い木造住宅だけでなく、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物も大きな被害を受けました。阪神大震災で被害がなかったとテレビで宣伝をしている鉄骨系プレハブ会社の建物も実際には倒壊していました。
断熱工法を選ぶのは建築士の役割です。建築士は省エネ技術を勉強し、必要な熱抵抗値を得るために最も適した断熱工法を採用します。建築中の現場で職人に技術指導をするのも建築士の役割です。断熱材を選ぶのも建築士の役割です。限られた予算の中で家の断熱性を高めるには断熱材の価格も問題です。建主が断熱材の種類や厚さを指定した場合には、増えた予算を建主が負担することになるのです。
一般的に建築中にはさまざまなトラブルが発生します。金銭的なトラブルもあれば、設計ミスによるトラブルもあります。中でも多いのが営業マンの口約束です。口約束はトラブルの原因になりやすく、双方に不満が残ります。
契約後の設計変更もトラブルの原因につながります。建主の何気ない変更が、建築現場で思わぬ混乱を起こします。小さな不信感が大きなトラブルに発展することもあります。これらのトラブルを未然に防ぐには、建主が自分の役割と建築業者の役割とをはっきり区別することが大切です。私は建主の役割について主婦のための勉強会を開いています。このセミナーに参加した建主は何のトラブルもなく、楽しく家を建てています。
世の中に良い建築業者と悪い建築業者とがいる訳ではありません。私を含めてすべての業者は自分のことを良い業者だと信じています。この良い業者もときには建主とのトラブルに巻き込まれます。そんなとき、建築業者は悪い建主に出会ったことを後悔するのです。われわれ建築業者がトラブルに巻き込まれない確かな方法は、建主として自覚がない人の建築工事を請け負わないことです。おかげで私はここ20年トラブルに巻き込まれたことがありません。
家づくりは建主次第だと、つくづく思います。なぜなら同じ建築業者が建てた家でも建主が心から満足する場合とそうでない場合とがあるからです。そこでは建主が大きな役割を果たしていることを見逃す訳にはいきません。
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